ナカタ、ナカタたる…

 ナカタの引退が正式に発表になった。
 彼が決断したことなので、他人がとやかく書き連ねることでもないのだが、「ナカタの涙に関する一考察」などと書いてしまったもんだから、あのピッチの上の涙から引退までを見て、ショックを受けた人間として、少し長くなるが完結編を書かねばならないだろう(そんなことないぞ、という意見もあるだろうが)。

 私とっては、” ナカタのナカタたる ” 生き様が、これまで大変興味深いものであった。
 サッカーについては、好不調やチーム事情などで、思うように行かないこともあったのではあるが、基本的に素晴らしい選手だと思うし、文句のつけようもない。サッカーで ” ナカタ ” を見ても、当たり前で少しも面白くないのだ。

 なぜなら ” ナカタのナカタたる ” 本質は、ピッチの外にある。

 まずは、そのファッション!彼が、何を着ようと脱ごうと彼の自由である。なが〜いマフラーを着けようが、雪駄を履こうが、レイバンのサングラスをかけようが、何でもいいのであるが、何を着てもナカタになっている。

 正直、そのシュミはど〜なの? と各方面に聴いてみたい気はするが、それを超えて、彼は一流なのである。
 いったい何を狙っているのか、とも思うが(そう思うのは、私だけではないはずだ)、 ” ナカタ ” であることを目指しているので、ああいった奇抜な(?)状態が、100%ナカタ状態=オールOKとなるわけである。

 そしてインタビュー、基本的に俺は話したくないけど…というスタンス。
 一回あの態度をとると、以後はそのスタンスを続けるのが ” ナカタのナカタたる ” 所である。本当のところ、機嫌が良くて言いたいことがたくさんあっても、ナカタ は、” ナカタ “ なくてはいけないのである。多分、歯がゆいところもあったと思う。もっと、フランクに語ることもできるのであろうが、知の部分も ” ナカタ “ の重要な要素である、充分に言葉は選んでおく必要があるのだ。

 さらに、CM出演。これも、商品・企業に対して、厳しい基準で選んでいる。特にここ数年は、ある意味業界のトップでなければ出演しない。ナカタの価値がCM出演によって下ってはイケナイのである。
 もちろん、その内容もあくまでも ” ナカタ ” らしくカッコよいものなのである。例えば、スーパー・モデル出身女優ミラ・ジョホビッチとの共演も、ニヤついていたとしても重要である(個人的には “?” なのだが)。
 ” ナカタ “ は、カップ麺のCMなどに出てはいけないのだ(核心に迫ってきたぞ)。

 そこで、思い出して見ると、彼はマエゾノさんとともにカップ麺のCMに出ていたではないか!
 そう、そのとき彼はまだ ” ナカタ ” には成っていなかったのだ。その後、坂道を転がるように落ちていったマエゾノさんの姿を見て、何かを悟ったに違いない。

 日本代表に選ばれた日から、 ” ナカタ ” であることで自分を追い込み、常に ” ナカタ ” であり続けられるよう努力を重ねてきたのだ。それが、他人にとって意味があろうとなかろうと…、凄まじい生き様である。
 周りやチームメイトに何と言われようと、嫌われようと貫き通してきたではないか!

 だからこそ、あのピッチの上の涙は、私にとっての ” ナカタ ” の形ではなかった。引退を決意して臨んだ大会で、不甲斐ない結果に終わったという心理状態をもってしても私には納得がいかない。
 良きにつけ、悪しきにつけ、いかなる状況でも100%のナカタを表現してきた男の姿ではなかった。
 私の中で、あの瞬間から中田英寿は、 ” ナカタ ” ではなくなった。

 では、何者になったのか?
 そう、山梨出身の信玄餅の好きな元プロサッカー選手、中田英寿氏になったのである。
 できれば、引退前に甲府か湘南で1〜2年やって、J2の底上げと彼独自の ” プロの美学 ” を伝道して欲しかった(「もう俺としては、やることはやったので…」なんて一言だけ語ってね)。

 これからの中田英寿氏のご活躍をお祈りします。

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