遅ればせながらP.トレメイン「蜘蛛の巣」(上・下)読了

Spider Web 何と今日は、異常に温かくて寒いと思って、掛け布団の上に一枚軽くかけたのが裏目に出て、汗をかいてしまったようだ。それでなんだか風邪っぽい感じ。ちょっと一段落なので、早めに帰ってゆっくりすることに。

 で、昨年末のタイ旅行中に読み終えていたピーター・トレメインの「蜘蛛の巣(上・下)」(創元推理文庫)について書く事にする。この本は、タイ旅行に備えて古書で購入していたもの。ぼよよ〜んと2日間で読み終えてしまった。

 作者P.トレメインは、もともとアイルランドの歴史の専門家とのこと。研究の間をぬってこのシリーズのほかの小説を書いているらしい。そんな作家の作品らしくキリスト教伝来間もない7世紀のアイルランドが舞台となっている。
 そんなこともあり、E.ハートも読んでみたというわけだったのだが、結果は前にも書いたとおり…。

 さて「蜘蛛の巣」である。舞台は、7世紀のアイルランド。都から離れた地方の族長が刃物によって殺される。その死体の傍らには、その刃物を手にした「目・耳・口」の不自由な若者が…。
 この件の処理を依頼された、ブレホン(裁判官)である修道女フィデルマが派遣される。当時のアイルランドの裁判官は、裁判官だけでなく、刑事としての役割も担っていたり、アイルランド自体がかなり進んだ法律をもっていたりということが、研究者らしく描かれている。

 また、フィデルマはブレホンというだけでなく、王の妹でもあり、なかなかに智慧と威厳を兼ね備えた女性として描かれている。彼女の相方(ワトソン役)には、サクソン人の修道士エイダルフという若者がついており、彼がなかなかに好人物である。

 事件の方は、この地方の集落は表面的には平和に見えてはいるが、公然の秘密や暗黙の了解といったなどの暗黒面が広く支配しており、これが、事件をより複雑にしていくのである。
 女性という事で、当初はなめられるフィデルマであるが、法を信じる信念と王族であるという威厳、そして慈悲の心をもって、複雑に絡んだ”蜘蛛の巣”のような事件を鮮やかに解いて見せるわけである。

 本来は、シリーズ第5作なのだが、背景となる古代アイルランドというものについての描写の割合が大きい本作を日本での第1作としたらしい。確かに、状況により段取り、説明くさい部分がないでもないが、全体にじっくりと読ませる内容で重厚でありながら、ヘビーではなく、古代アイルランドの社会と人間が描かれた好作品だと思う。

 引き続き翻訳が楽しみなシリーズである。

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