P.トレメイン「アイルランド幻想」読了

Aisling 網代温泉旅行中に「フィデルマ・シリーズ」の作者ピーター・トレメインの「アイルランド幻想」(光文社文庫)を読み終える。
 網代の夜は、ゆったりと温泉につかって、食事をした後は何もする事がない。静かで、読書に最適である。
 全11編の短編のうち3編を残して旅行に突入していたのであるが、最終的に帰りの電車で残った10ページを片づけ、読了となった。
 久しぶりの怪奇・幻想小説、それもあってか、新鮮な感覚で楽しめた。

 全11編を通して、アイルランドの古の神話や民話に材をとった物語である。
 ミステリである「フィデルマ」とは、当然のように違った作品であるが、アイルランドの歴史の専門家であるがゆえの情報と知識に裏打ちされた、その重厚な世界観は変らない。

 中で唯一「メビウスの館」が、毛色がちょっと違っていて、アイルランド色は薄め、そのうえちょっと変った短編怪奇幻想小説の手法をとっている。これはこれで面白い。

 全体的にやや暗いトーンで、必ずゾクッくる結末が用意されている。虐げられたアイルランドの人々の心と古の神、あるいは妖怪たちが、心の隙間に忍び込んでくる。
 個人的には最初の「石柱」と最後の「幻想」がお気に入りである。

 あまり知られていない、英国とアイルランドの暗ーい歴史をかいま見る一冊でもある。

 高校・大学と創元推理文庫で読んだラヴクラフトやブラックウッド、M.R.ジェイムスの世界ふたたび…である。
 久しぶりに「怪奇と幻想」を楽しんだ。
 古本屋で、その辺のものを探してみる事にしよう!

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