C.プリースト「奇術師」読了

Pristige はやいもので本年度も間もなく終り、アッという間の2月、3月だった。ちょっと年度末でバタバタしたのだが、大波は何とか乗り切ったかな。

 実は、一昨日の夜に読み終えていたのが、クリストファー・プリーストの「奇術師」(ハヤカワ文庫FT)。昨晩書くつもりだったのだが、打ち合わせが長引いて書けずじまいだった。
 もともと世界幻想文学大賞受賞作ということもあって、でたときから気になってはいたのだが、先送りにしているうちに2005年(だっけ、これって年の設定がややこしい)の「このミス」で10位に…。ちょっと遅くなったが、先日、ヤフオクでお安くゲットした。

 もともプリーストは、ニューウェーブSFの作家だったのだが、ここのところ作品の幅を広げ、SFやファンタジーやミステリなどの境界にある作品をものしている。
 早川書房からでた「魔法」(最近文庫化で入手しやすくなった)もなかなか不思議な味わいの作品で、心に残る作品であった。

 この「奇術師」は1995年の作品で、あとがきによると去年の公開目指して映画化も進行中とのことであったが、昨日どこかで本年6月の公開というポスターかなんかを見かけたような…。
 
 ストーリーは、ジャーナリスト、アンドリューが、新興宗教の教祖指導者が同時2ヶ所に現れたというネタにつられて行った先には、ケイトという女性が待ち受けていた。
 ケイトから、彼女とアンドリューは、今世紀の初め人気があった2人の奇術師(イリュージョニスト)それぞれの孫だと告げられる。

 この2人のイリュージョニスト、エンジャとボーデンは、あるきっかけからいがみ合い長い確執の日々へと突入する。この2人の日々が、まずはアンドリューの祖父であるボーデンの手記、そしてケイトの祖父であるエンジャの日記で綴られる。
 それぞれの前半部分は、奇術師が観客にイリュージョンを見せ、魅了するためにどのような日々を送っていたかが興味深い。

 エンジャの降霊術に関するボーデンの軽率といえば軽率な行動から確執の幕が開けるのであるが、お互いの行動が絡み合ってあるときは強烈にいがみ合い、あるときは歩み寄りそうになりながら、結末へ向かって突き進んでいく。

 まずは、ボーデンが「瞬間移動」で人気を博すとエンジャも負けじと瞬間移動ネタで評価をあげていく。やがてエンジャは、アメリカで独自の新しいイリュージョンを手にする。これが、何であるかは読んでのお楽しみ、そのうえこれがSFといえばSFという要素にもなる。

 まあ、ちょっとした忙しさもあって思ったりも手間取ったが、読み始めるとぐいぐいとページをめくらせる。さすが、プリーストと唸らせる作品である。

 次回は、J.バーンズの「イングランド・イングランド」の予定。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中