P.トレメイン「幼き子らよ、我がもとへ〈上・下〉」読了

Suffer Little Children いや〜ホントに今年はおかしい。この事態はイジョーとしかいいようがない、確かに若い頃は徹夜が続いたりはしょっちゅうであったが、この歳この立場でこれはちょっと…。
 ほとんど休みがとれない日々が続いている。さすがに歳をくっているので、体力的に無茶はしないということもあるのだが…。

 で、そんな中の一昨日、けっこう気に入っている作家・シリーズのP.トレメイン「幼き子らよ、我がもとへ〈 〉」(創元推理文庫)を読み終えていたのだが、前述の通り書く余裕がなかった。つい最近でたばかりのほやほやである。もちろん新刊で購入。
 この修道女フィデルマ・シリーズの本邦訳2作目、シリーズ全体のエピソードとしては3作目。

 舞台は、キリスト教が伝来したのちの古代アイルランド。王の後継者である兄の依頼で故郷モアン王国の領内の修道院で起こった、宗教的賢者の殺人事件を捜査することになったフィデルマ。

 なんと、隣国がこの殺人をたてにモアン領内の小国をよこせと訴えを起こしたのだ。

 兄との再開もそこそこに、フィデルマは殺人現場である修道院へ護衛の兵士一人を伴って旅立つ。途中、修道院近くの村で疫病の流行を理由にした焼き打ちに出会うが、その理由に疑念を抱くフィデルマ。
 さらに、その焼き打ちを逃れた、修道女と子どもたちと目的地へ同行することとなる。

 現場の修道院で調査を開始するのであるが、どうやら被害者ダカーンは、賢者というわりには院内の人々に尊敬されてはいなかったようである。また、修道院図書館内での調査も申請されたものとは違っていた。
 彼の周りに現れる人間がなにやら胸に一物もっているようで…。

 しかし、彼女に残された日は刻々と過ぎてゆく。やがて、捜査の範囲は、海を渡った孤島の修道院(世界遺産スケリグ・マイケル)や近郊の孤児院へと広がっていく。
 はたして、何ものが何の理由で賢者ダカーンを殺したのか?

 実に、読み応えありである。フィデルマ他、主要キャラクター(今回はワトソン役のサクソンのエイダルフは登場しないのが残念)に存在感がある。そのうえ、古代アイルランドが実に人間味あふれる土地だったことが伝わってくる。
 アイルランドの空を思わせるような、重厚な雰囲気も捨てがたい、かといって重苦しいということはまったくない。
 読書の楽しみを与えてくれる素晴らしい作品だと思う。なにより作者の本業、アイルランド史の研究者である知識がこの作品の大きな支えであることは間違いない。

 このシリーズも引き続き、毎年年末前の恒例となりそうだ。年末前といわず、一日も次作の出版が待ち遠しい。
 次は、スラッシュ・メタル・ミステリー(笑)のM.スレイドの新刊「メフィストの牢獄」へ進行中である。

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4 thoughts on “P.トレメイン「幼き子らよ、我がもとへ〈上・下〉」読了

  1. yy 19/10/2007 / 02:07

    いやはや本というものに対する見識の「広さには恐れ入ります。このブログで幾人の未知の作家の作品に出会い、読書の楽しみを増やしてくれたことか。先日ヒューリックのディー判事ものを求めて図書館の書架をめぐり、(これは大げさでした。じつは欧米文学は行へ直行)みつけましたポヶミスの一群を…。どれにしようかしばし思案し、とにかく一番番号が若かった「真珠の首飾り」を読むことに
    先日読了しました。またひとつ楽しみが増えたようです。今まで触れることになかった中国文化に触れつつ、なんとも軽妙な展開で謎解きがなされ、ディー判事のキャラクターも申し分なく、登場する脇役の描き方も魅力的なこと。めでたくローテーション入りです。早く次が読みたい感がありありです。現在はまたしてもはまってしまった感のある隆慶一郎氏の「花と火の帝」をお楽しみ中です。下巻に入り佳境に…。読後感想は後日。ではまた。

  2. ksbigchance 19/10/2007 / 02:32

    元気ですか?こちらは、どん底の日々が続いています。今日も今日とてこんな時間まで仕事してます。もうきりあげますが…。
    読書は、日常から逃避するもっとも手軽で確かな手段です。これで、気分転換しなければ精神的にまいっていることでしょう。酒を呑まない私には、読書と音楽が日々の息抜きです。

    ボケミスのヒューリックものの番号は、順不同です。でも、順番など関係なく気軽に楽しめる好作品です。彼を知ったのは大学生の頃でした、帰省したときに高校生だった妹が読み終えていた講談社文庫の「中国迷宮殺人事件(挿し絵は同じようにありました)」を読んでなかなか面白いと思ったのが出会いでした。
    その後、記憶の中に埋もれていましたが、数年前のポケミスでのシリーズ出版で再会というわけです。

    フィデルマ・シリーズは、なかなかいいシリーズです。おすすめです。
    あっ、是非昔のように音楽も聴いて下さい。

  3. yy 20/10/2007 / 21:39

    適切なアドバイスありがとう。同じですね。こちらは現在のところの息抜きは読書とウイイレですが
    K氏のようにプレーできたらとおもうのですが、その時間もないのでゲームで昔のプレー下いたときの快感を追体験しているのです。息子にウイイレ依存症とまで言われています。無名選手を発掘してチームをつくる醍醐味も味わえます。あっとコレくらいにしておかないととまりません。それから、音楽は聴いているというか観ています。邪道と思われるかも知れませんが、YOU TUBEで検索してはうなっています。もちろんこのブログで紹介されたアーティストもチェックしています。ダイレクトにアーティストに直行できるのでそれはそれで時間短縮できてよいのですが、音だけを純粋に落ち着いて聴く環境がないので残念です。まあそれをめざしてとりあえずYOU TUBEで我慢です。
    ではまた、くれぐれも体には気をつけて。

  4. ksbigchance 21/10/2007 / 20:37

    厳しい日々が続いています。この土日も自宅で仕事です。それも徹夜。
    色んな理由でずれ込んだ仕事になっているのですが、来週早々には…。

    しかししんどいです。もう本当に無理がききません。
    お互い身体には気をつけましょう。
    telさんもね。

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