高城 高「墓標なき墓場」読了

BohyonakiHakaba いやいや仕事が全くはかどらない、とはいってもこちらに落ち度があるわけではない。今回もお役所仕事で、想像力と思考力と決定力を欠くお役人たちが相手で、ほとんど物事が決まらないままに時間だけが過ぎていく。
 それでもやることが減るわけではないので、始末が悪い。さ〜て、困った。

 そんな中ではあるが昨日、高城 高「墓標なき墓場」(創元推理文庫)を読み終えた。これは、昨年末の宝島社の「このミス」の国内部門で高い評価を受けた短編集「X橋附近」の作家の唯一の長編(中編)ということで、気になっていたものを先日、書店の店頭で見かけて購入したもの。

 高城氏は、「X橋附近」で乱歩からも高い評価を受け、日本ハードボイルでの嚆矢とも言われているが、長らく筆を断っていた作家だったらしい(もちろん知らなかった)。
 で、昨年東北の出版社荒蝦夷が、短編集「X橋附近」を発行、再評価の波が訪れたとのことだ。

 この作品もずいぶんと昔の作品、昭和30年代初頭(おいおい生まれる前だ)の釧路・根室近辺が舞台。主人公は、地方新聞の網走支局の支局長江上。
 
 ことの発端は、3年前の釧路支局時代の漁船沈没の裏を追ったスクープに始まる。そのスクープをものすために取材に当たった人物から事実無根の恐喝で訴えられそうになる江上。
 この辺りから、沈没の裏に良からぬものが感じられるのだが、それが何だかはわからないまま事件は、一見解決となる。
 その恐喝事件で、網走に飛ばされた形となった。

 その3年後、江上の妻が、事件の関係者の死亡記事を見つけて、江上はこの事件の裏を改めて追求することに決める。
 休暇を取り、釧路に戻る江上、さらに事件は以前も取材に当たった根室・花咲へつながっていく。

 派手さはないが、当時の風物と道東の風景が入り交じりながら、落ちついた速度で物語は進む。たまたま数年前、根室・花咲を仕事で訪れたことがあるので、当時とは違うだろうがその最果ての寒風吹きすさぶ光景を思い出しながら読み進んだ。
 短めの作品ではあるが、味わいと読みごたえのある作品。

 最近、創元推理文庫から高城 高作品集と銘打って第2集「凍った太陽」もでたので、そちらも早速購入。
 現在、引っ越しの処分品のなかから回収した名作との誉れ高い、横山秀夫「クライマーズ・ハイ」に進行中(タイムリーだな)。

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