S.エリン「闇に踊れ!」読了

The Dark Fantastic 金曜日は柏崎へ出張、心配した現地の天気は東京よりも穏やかで、打ち合わせもまあ無理なくおさまって、そのまま直帰。まったりとした週末3連休となった。
 そして、3連休最終日の今日は高校サッカーの決勝、広島皆実が鹿児島城西を破って初の高校日本一に。どちらが勝ってもいいのだが、試合内容は攻守の切り替えが速い、活気のあるいい試合だった。これからも失点を恐れないダイナミックなサッカーが、若い世代に浸透していくことを祈っている。

 で、柏崎出張の帰りの新幹線車中でスタンリイ・エリン「闇に踊れ!」(創元推理文庫)を読み終えた。これもこころところの定番、駅前のBook ○ffで250円でゲット。現在版元品切れ中のようである。
 S.エリンは日本では早川書房からでている「特別料理」が有名で、未読ながらブラック・ユーモアの異色作家という印象が頭の片隅にあったのであるが…。

 本作は1983年の作品で、86年に亡くなったエリンとしては、晩年の作ということになる。背表紙の紹介文には執筆当時、本国で出版拒否された問題作とあるが、何が「問題」だったのかは、読んでのお楽しみとなった。

 お話は、カーワンという末期肺ガンの元歴史学準教授とやり手の調査員ミラノの2人が交互に描かれる構成。カーワンは、本人がテープに口述筆記をする形、ミラノは、きわめてミラノよりな第三者的立場による記述で展開する。

 カーワンは、自らが所有する古いアパートを利用して、ゆがんだ野望を実現させようとその残りの生を賭ける。その計画のさなか、さらに醜い欲望を住人の娘に向ける。
 一方、ミラノは盗まれた絵画を追ううちに、ある画廊にゆきあたる。この画廊で働く美しい女性と知り合い、カーワンとの接点が…。

 カーワンの穏やかな表面とは対照的に語られる恐ろしく醜い内面と歪んだ欲望、そして社会の裏の酸いも甘いもお見通しのやり手調査員ミラノの調査ぶりが、ページをめくらせる。どこでどうミラノは、カーワンの計画を阻止するのか…。
 しかし、最後の最後までミラノが考えたカーワンの姿と真の姿が重なり合うことはない。こちらの思ったラストとは、ちょっとずれた意外な結末を迎える。

 ストーリーの柱は、このカーワンの計画の成否にあるのだが、ミラノの盗難絵画調査もなかなかに捨てがたい展開で、実際のところ2つの話を読んだようなちょっと欲張りな作品である。
 で、かといってどちらもきちんとある種の解決へ導き、物足りない印象はない。出だしのインパクトに比べ、ややラストが物足りないといえばそうかな…という印象。

 ただ、タイトルの「闇の踊れ!」は、ちょっと違うかな…踊ってはいないと思う。お次は、R.マシスン「奇術師の密室」へ進行中。

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