高城 高「函館水上警察」読了

Hakodate Suijo Keisatsu 来週は月曜から週末まで長崎の島へ出張。もろもろの準備でなんとなく落ち着かなげな日々となっている。

 そんなこともあって、4年目となる8月は前半は、このブログのアップもままならないかも知れない。
 そのうえ、別件でちょっとした行き違いもあって、精神的になにやらプレッシャーのかかった数日でもあった。
 
 そんななか、待ちに待った高城 高の新刊「函館水上警察」(東京創元社)を読み終えた。久しぶりの新刊ハードカバー購入、それほど期待をしていたということになるかな…。 

で、舞台はタイトルの通り函館であるが、函館開港後の明治。新しい時代の国際港函館港の治安を守る小さな警察署「函館水上警察」の警部五条文也が主人公の連作。
 五条は、アメリカでの放浪から帰国、亡命ハンガリー人に手ほどきを受けたフェンシングの名手である。勿論これは、作者がフェンシングをしていたことに由来するのだろう。

 五条たちが相手にするのは、イギリス、ロシア、カナダなど函館港を訪れる外国の軍艦から密輸船の乗組員とそれを相手に商売をするさまざまな人々。
 収録された「密猟船アークテック号」「水兵の純情」「巴港兎会始末」「スクーネル船上の決闘」の4篇は、それぞれ独立した事件が描かれているが、すべてがゆるやかに繋がっている。明治期の港町という独特の雰囲気を重過ぎず、軽すぎずの調子。

 本格的に復活した著者のそれまでのストイックな世界観とは少し違った生活感というか、街の息遣いのようなものが感じられる。そこが思ったものと違うといえば違うが…。
 また、このシリーズ誕生のきっかけとなった若き軍医森鴎外の函館訪問の秘密を描いた「坂の上の対話――又は『後北游日乗』補遺」も収録。

 ご高齢ながら著者の今後の活動に期待。

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