C.G.フィニー「ラーオ博士のサーカス」読了

Dr.Lao この歳になるとめでたい感は全くないが、誕生日というものはふつう一年に一回やってくる。そしてひとつ歳をとってしまうわけだ。
 なんと速い一年経過か…。いよいよ五十路まで間近なところまでやってきた。
 昨日は、ちょっと早めにあがって、連れ合いとともに夕食へ。そこで日本酒を飲んだので、家に帰ると途端に睡魔に支配され(疲れもあってか)、一気に寝てしまった。

 で、以前に書いた仙川の古書店で見つけた掘り出し物、チャールズ・G・フィニーの「ラーオ博士のサーカス」(創樹社)である。これは1976年に出たもので、その後今は亡きサンリオSF文庫、そしてちくま文庫と出版社を変えて同じ訳で出されていた。
 ちくま文庫でも絶版となっているようなので、国内初版の創樹社版が600円で入手できたのは掘り出し物といえるだろう。

 本作はSF、ファンタジー分野では知る人ぞ知る名作であるが、若かりし日に何度も読みたいと思っていた。しかし、タイミングがあわず手に入れることができなかった。
 読んで見ると評判通りなんとも不思議な味わいをもった唯一無二の作品といえる。

 アリゾナのアバローニという町に中国人ラーオ博士の率いるサーカスがやって来る。そのサーカスには、ユニコーン、人魚、スフィンクス、メデューサ、サテュロスなどなど伝説、いや想像上の生き物がわんさか。

 ストーリーらしいストーリーはない。妖しい見せ物の描写とそれを見物にきたアバローニの人々の姿、いや心のなかまでが描き出されていく。
 その妖しい見せ物が現実に存在するのか、それともラーオ博士のトリックなのか…目眩く幻想のはずなのにわりと淡々と展開していく。
 そして、物語は唐突に終わりを告げてしまうのである。

 こちらもラーオ博士の不思議なサーカスに幻惑され、あっという間に読み終えてしまうが、そこで終わりではない、付録に付けられた<わかりきった事についての解説、読まなければよさがわからない>とのサブタイトルがついたカタログが、これまたひねりが利いている。
 中国赴任の経験と彼自身のもつ面白い感性が本作品に結実したことは間違いない。

 1935年に書かれた作品が本国でも長く読み続けられているとのこと、それもひとつ名作の証でもあるのだろう。さすがに翻訳に古さを感じる部分があったので、欲をいえば新しい訳で読みたいところである。
 高校時代に手が届かないまま読むことがなかった作品をついに読むことができた、それだけでも意味のある大きな掘り出し物だった。

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