J.ハート「ラスト・チャイルド」読了

Last Chaild GWもたけなわ、天気にも恵まれ絶好の行楽日和なのではあるが、当方は何の予定もない。強いて挙げるならば、ベランダ・ガーデニングというところ、昨年にならいこの時期に種まきというところ。
 実は、釣行をとの話もあったのだが、持病の腰痛がひょんなことから出たため(軽い症状ではあるが)自粛となった。

 気持ちが後ろ向きの傾向にあったため、水曜の夜に読み終えていたがそのままになっていたジョン・ハート「ラスト・チャイルド」である。もちろん、先月に出たばかりのバリバリの新刊、それも文庫(巻)とポケミスでのダブル企画での刊行、当方はポケミス版を選択。
 まあ、翻訳ミステリの話題作といえば話題作ということになるかなぁ。
 ポケミスとしては、ランキンの「死者の名を読み上げよ」に続いて2段組の450頁という大作だ。

 ハートの作品は3作目ながら全2作と同様、家族とそれを取り巻く物語りということになる。読み応えもズシリの骨太の作品。

 一年前、双子の妹が行方不明となり、その後を追うように父親まで姿を消してしまい、挙句に母親が精神不安定な状況で家族崩壊となった十三歳の少年ジョニーの犯人追求と家族を取り戻そうとする物語である。

 ジョニーの美しい妹アリッサは誘拐されたとされ、地元警察の手で懸命の捜査が行われたが、手がかりをつかめないままほとんど迷宮入りの状態。この事件がきっかけとなり、両親の間がおかしくなってしまう。
 そのうえ、誠実で勤勉だった父親まで行方しれずに…。
 その母子家庭に入ってきたのが、町の経済的支配者であるケン、母親を薬物と金で支配し、母親とジョニーの間にはミゾができ始める。

 そんな中、ジョニーはたったひとりで正犯罪歴のある住人の監視を行っている。そのジョニーを心配し見守る刑事ハント、彼もまたアリッサの事件がトラウマとなったうえに、美しいジョニーの母親に気持ちを寄せているという複雑な事情を抱えていた。
 そしてジョニーのたったひとりの友人であるジャックも腕に障害と複雑な家族関係をもつという極めて入り組んだ背景うえにストーリーは進んでいく。

 そして再び少女誘拐事件が発生し、ジョニーの行動が事件のこの解決を導き話題となるが、この時点ではまだ前半、この先どんな展開になるのやら半分以上も残っているのに…。
 そこからがハートの本領発揮、幾重にも用意した背景が効果的に展開し始める。警察内部の複雑な事情がハントを苦しめ、家庭の事情がジャックを追い詰め、ジョニーの強い心が、母親とケンの関係を変え始める。
 そして、父親とアリッサの行方が明らかになり、意外な事件の裏が姿を晒すのだ。

 とにかく読み応えと読後のカタルシスも十分の作品である。正直なところジョニーが十三歳ということを考えると日本ではややリアリティに欠ける部分がないでもないが、そこはアメリカということになろうか。
 好みとしては、前作の「川は静かに流れ」のほうが好みではあるが、今回も彼の作品のコアである家族の再生の物語り、実に手堅い。その厚さにひるむ向きもあろうと思うが、読み始めればそれも気にならない、読ませる。

 現在、A.カーズワイルの「驚異の発明家の形見函」に進行中なのだが、どうも文字が上滑りして頭に入ってこない。ちょっと気分を変えた方が良さそうな気配である。
 

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中