日影丈吉「夕潮」読了、なんと積ん読20年

Yushio 今日明日と名古屋に出張中。こちら名古屋も東京都変わらぬ猛暑、仕事現場を中心に主に徒歩にて移動したが、発汗のため十分に給水を摂らないと熱中症になりそうだ。
 だが、こればかりは自然の力、これに人間が勝てるはずないのは十分承知のところ、なのでここ数年なるべく暑い寒いでの不満は口にしないよう心がけているつもり。暑いといって涼しくなるわけでなし、寒いといって暖かくなるわけではないので、それを受け入れ身体を慣れさせるようにしてはいるが、やっぱり暑い(笑)。

 先日、読書の参考にさせていただいているsugataさんのBlog 探偵小説三昧で日影丈吉「夕潮」が取り上げられていた。それは、東京創元社が90年に単行本で出したものを96年に推理文庫で出し直したものだったのだが、そのタイトルに覚えがあった。だがしかし、その記事を読んでも内容に思い当たる節がない。

 自らの記憶の後退を嘆くと共に確認すると…なんとちゃんと本棚にはあるではないか。ページをめくったり、解説に目を通したりしてみるが、やっぱりピンと来ない。どうやら積ん読のままになっていたようだ。そこで早速読んでみたというわけで、先週の金曜の帰りの電車で読了。

 この小説が世に出た背景が面白いのであるが、それは各所で問えあげられているので興味のある方はそちらで…。

 昭和30年〜40年頃の伊豆の島が舞台となる。主人公の結婚してまもない女性未知が、少し遅めの新婚旅行という形で夫鹿沼春辞とともに友人の機帆船でそこを訪れる。
 そこは、春辞の叔父が30年前に謎の水死を遂げた海でもあった。そして、未知はその未亡人である歌人仁科秘女の作品とその背景に強くひかれていた。

 未知は島の生活に慣れたころ秘女と出会い、似た境遇もあって彼女との親交が深まっていくが、未知を島まで機帆船に乗せてくれた友人瑠璃子が溺れ、東京にいるはずの春辞が現われ、一度は疑われたりする。
 そのうえ30年前の春辞の叔父の時と同じように、何か海の魔物のような存在に海中に引きずり込まれるところを目撃した人物が現われる。
 一方、春辞と秘女の間にも何やらただならぬ事が起こっているようで、未知は春辞が秘女を押さえ込んでいる所を目撃するが…。

 秘女の不思議な魅力と幻惑するようなその言動に惑わされていく未知、彼女の印象やら感情を交え書き進められるうえ、これまた島という特殊ともいえる背景が、さらに非日常なイメージを増幅していく。
 そして未知に危機が訪れ、30年前の事件と現在が一つの像として結ばれていくことになる。

 とはいうものの独特の幻想的な雰囲気で文学的な色合いもあったりするところが、この作者の持ち味。人間の心の怖さを描いたサイコな作品。
 Sugataさんの紹介がなければ、更なる積ん読が続いていたことだろう。この「夕潮」は、なんと20年の積ん読から解き放たれたということになるわけだ。ヒョッとして20年前はこちらが若すぎて面白いと感じなくて、早々に読むのを止めてしまったのかも…。
 Sugataさんに感謝!

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