G.ブルックス「古書の来歴」読了

People_of_the_book GW開けは、その分を取り返すような形になりがちであるが、今年はそれほどでもない。それもこれも、あの地震の影響があるのだろう。とはいえ、やっぱり落ち着かない状態。
 そのうえ、なにやら5月病のように目覚めがすっきりせず、夕方になるとダルい、これがGW直前から続いている。疲れが出てしまっているのか…どこかで一度リセットしたいと思う今日このごろ。

 そんなGWの前半にジェラルディン・ブルックス「古書の来歴」(武田ランダムハウス)を読み終えた。本作については、翻訳ミステリー大賞を受賞したことでその存在を知り、「ぜひもの」にランクイン、他の作品を差し置いて最優先となった次第である。

 著者は、オーストラリア人のピューリッツァー賞作家とのことで、本作は第3作。各所で絶賛され、女優C.Z.ジョーンズが映画化権を買ったとのことで欧米ではかなりの話題作のようである。
 

 事の発端は、約100年行方知れずになってたユダヤ教の宗教書「サラエボ・ハガダー」(これは実在の稀覯本で同様にユーゴの民族紛争に際にでてきたもの)をめぐる物語である。

 古書鑑定修復家のハンナは、この本の修復を依頼されサラエボへ赴く。そこで手にした「サラエボ・ハガダー」の素晴らしさに魅了される。その修復の過程で、蝶の羽、ワインの染み、塩の結晶、白い毛、銀の留め金と遭遇する。
 それらを物語の鍵とし、この古書にまつわる人とその時代を描き出していく、まさに「古書の来歴」そのものといっていい。

 だだ、これがただの「来歴」の終わらない。この本が作られた経緯のみならず、これを作り、あるいは手にした人物たちが、当時の社会や宗教の波に翻弄されながらもこの「ハガダー」に寄せる想いが描かれている。
 個人的なハイライトは、やはり「ハガダー」の誕生を描いた章なのではあるが、どの章も甲乙付けがたいいいお話。読んでいて「ハガダー」目にしたことがなくて、その美しさがわからないのが誠に残念至極といったところである。

 就寝前の読書では眠気が早々にやってきて読む速度が思いのほか外上がらなかったが、これは本書のせいではなく、あくまでこちらの体調不良によるもの。
 本当に楽しませてもらった。やっぱり「翻訳ミステリー大賞」は伊達ではないということだろう。

 最後の最後にミステリーといえばミステリーという展開がひと下りあるが、それもまた悪くはないのだが、それまでのところで充分楽しめる。ないと物足りないかも知れないが、別の形で終わるのもありかも…。
 まあ、そんなことも含めて読書の愉しみを存分に味わえる作品であることは間違いない。

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