半村良『獣人伝説』(ハルキ文庫)を読了

 11月も半ばになって、いろいろドキドキのスケジュールの予感。
 ここから先がどのくらいバタバタになるのか…という緊張感もあって読書の集中力がアップ。

 半村良『獣人伝説』(ハルキ文庫)を読了。
 獣人などとおどろおどろしいタイトルなのだが、その響きほどエロやグロはなし。

 伊東のホテル目覚た神崎順一郎、しかし彼にはそこまで来た覚えがない。そして、彼のポケットにはGODと記された無敵のカードが…。
 この日から、神崎はある人物たちの尾が見えるようになった。その尾は、三角の先を持ち、いわゆる悪魔の尾だった。
 人間社会に巣食う悪魔を狩る神の使徒となった神崎は、財界・政界の実力者を血祭に挙げていくのであった。
 しかし、敵も黙ってはいなかった。

 善と悪の対立を描く半村良の得意とする伝奇ロマン。
 代表作『妖星伝』などに比べるとスケールもボリュームも小粒ではあるが、シンプルで読みやすい作品。
 少しばかり、物足りない感がなきにしもあらず。

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日影丈吉『多角形』(徳間文庫)読了。

 昨夜、時々寝落ちしながらなんとか読み終えたのがこれ、日影丈吉『多角形』(徳間文庫)。
前に読んだ『非常階段』に引き続きの日影作品。

雑誌編集者の落合は、投稿された無名の作家の未完の作品を読んで、その舞台である伊豆へ。
そこでその小説の筋に合わせ、不明な部分を埋めるように事件が起こる。
物語は、落合とその後登場する地元新聞の記者、酸本が精神分析医に語った内容として展開する。

そこらあたりも虚実の境が曖昧する持ち味が発揮されている。
ただ、すこしばかり詰めが甘いのか、こちらが読みきれてないのか…。

終盤は、落とし所をうすうす感じながら読み進めることになった。
ただ、そこは『非常階段』同様にらしいといえばらしい。
初出は1965年。

坂口安吾『不連続殺人事件』(双葉文庫)と日影丈吉『非常階段』(徳間文庫)を読了

  久しぶりの好天の週末の上に3連休だったが、細かな自宅作業ありだった。
初日に近所に買い物と昼食を摂るために出かけただけで、なんとなくダラ〜っと。
一応、温故知新読書の坂口安吾『不連続殺人事件』(双葉文庫)と日影丈吉『非常階段』(徳間文庫)を読了。

『不連続殺人事件』は、純文学サイドからの殴り込みということの上に犯人あての懸賞までかかったいわくつきの作品。
「探偵小説」を読み始めたころ読んだような記憶があったのだが、内容について記憶がない。
古書で買うだけ買って読んでなかったのかも…。
お話は、地方の大家に招かれた作家・芸術家たちが殺されていく。その数は結構多い。
それは、登場人物が多いことともつながっているのかも(ネットを検索すれば相関図が出て来る)…懸賞もあるし、一見ややこしくするのが狙いか。
そのうえ、その数多い死が日々の出来事化していて、暗さがない。ただただ犯人当てのために作られた展開に引っ込まれて行く感じ。

面白くなくもないが、ちょっと集中力を欠くとページを戻らねばならなくなる。色んな意味で問題作。
ちなみに、昭和24年、第2回「探偵作家クラブ賞」長編賞を受賞。

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ジム・ケリー『凍った夏』(創元推理文庫)を読了

 この時期になっても2周続きの週末台風。引き続き雨で仕事に一つの予定が組めずの状態。
 そんなこともあって、今ひとつピッチが上がらなかったがジム・ケリー『凍った夏』(創元推理文庫)を読了。
英国本格ミステリー、地方新聞記者フィリップ・ドライデンものの第四作。
 これまでの3作も派手さはないがとても手堅くまとまっていて読み応えがあった。

 今回は、冷え込むスコットランドの冬にアパートに一室で住人が凍死する。その状況を不審に感じたドライデンは、調査を始める。
 続いて死んだ男の孤児院時代の友人も状況は違うが凍死、二人は休暇村で起こった殺人事件の犯人の冤罪に絡んだ証言をするはずだった。
 そして、ドライデンの住居である船に侵入者が…。

 少年時代のドライデンの苦い思い出と事件が結びついて、登場人物に複雑に絡んでくる。
 ただ、ドライデンの少年時代と冷え込むスコットランドの冬の風景がちょっと詩的に描かれて文学の香りさえもほのかに…。

 なかなか手堅い良いシリーズだ。次作が既に楽しみになっている。

M・ヨート/ H・ローセンフェルト『白骨』(上)(下)読了。

 スウェーデン・ミステリー、犯罪心理捜査官ゼバスチャンシリーズの3作目『白骨』()()。
『怪人ジキル』の前に読み終えていたのだが、その筋の話題の書『怪人ジキル』を優先してしまった。

今回の事件は、トレッキング中の女性が見つけた6体の白骨死体から話が始まる。その頭蓋骨には銃弾による穴が…。
セバスチャンら殺人捜査特別班が現地へと早速駆り出される。死体は子供らしき2名を含むものだが、身元はわからず、謎は深まってゆく。

なにやら猟奇的大量殺人か…と盛り上がるのだが、ストーリーはチームのヴァニアとセバスチャンの関係を中心にメンバー内の様々葛藤が挿入されるのと、事件の元と思われるムスリム移民関連の展開が細切れになってさっぱり落ち着かない。

これまで、セバスチャンの嫌キャラで引き回していたのだが、今回はそれが効いてこない。キャラの魅力減少で黄色ランプ点灯中となった。
風呂敷を広げた6人の殺人の捜査も尻すぼみ気味で、思いの外あっさりと風呂敷がたたまれてしまう。
どちらかと言うとチームの人間関係がメインで殺人事件がサイドストーリーのようだ。本末転倒、これでは当方は愉しめない。
映像化を意識した展開になっていて前作と比べるとかなり、読ませないものになってしまった。
最後の最後がトンデモ的に終わっているのも映像的なるものの典型か…。

とりあえず読み終えはしたが、かなり残念な印象。
次が大丈夫か心配だ。

盛林堂ミステリアス文庫 波野次郎『怪人ジキル』読了

 盛林堂ミステリアス文庫 波野次郎『怪人ジキル』読了。
う〜ん、???????。トンデモ本と知っていて読んでも言葉が出ない。全くもってお手上げ。

ストーリーを紹介する気さえ萎える。ブッ飛んでいると言えばぶっ飛んでいる。
あまりに適当というか、いい加減と言うか…面白くないと言えば面白くない、
可笑しいと言えば可笑しい。

前半のジキルが後半に活かされていないまま、突然殺人〇〇スへ、こちらの脳内処理がついていかないほどの危ないシロモノ。
表紙、豊富な挿画ともにヘタヘタ(ヘタウマにならず)で、ストーリーをイメージさせることに全く役に立っていない。
もう?マークの大行進。何よりもどういう経緯でこの本が出たのかがミステリー。

ネタ元になったカミの作品は未読なのでなんとも言えないが、もう少し上手く処理されてるんじゃないかと思い。
なんとなくうまく翻案出来ている感はうすい。こちらを是非もので読んでみないといけない。

なにはともあれ、この本を発掘した古書山氏、そして復刻出版した盛林堂さんに感謝?
あとがきに挙げられたうち、個人的に『発酵人間』を推す(笑)。

マイクル・コナリー『ブラックボックス』(上)(下)(講談社文庫)読了

 ずっとFacebookでしか日常をアップしていないかったのだけど(Blogだとレイアウトが面倒くさいので)、久しぶりに更新してみることにした。

ちょっとづつ振り返って以前のFBのネタもアップすることもありか…?

昨日、マイクル・コナリー『ブラックボックス』()()(講談社文庫)を読了。
アメリカ本国でボッシュ・シリーズ誕生20周年の記念すべき作品。

今回の物語は1992年のロス暴動が発端となっている。
暴動の対応にあたるロス市警のボッシュらにもたらされたデンマーク人女性ジャーナリストの死。
それは、やがて時間の中に埋もれてしまうが、未解決事件としてふたたびボッシュの目の前に浮上してくる。
いつものように自分のやり方で事件を追うボッシュ。

ボッシュの捜査の先に現れたのは、湾岸戦争で中東に派遣された兵隊たちだった。
まあ、いつものようにアメリカのダークな面が読むものにさらされてエンディングを迎える。今回はちょっと、あっけない感じがあったが、最後の最後のボッシュの言葉が重いシリーズ16作目。

酒見賢一『泣き虫弱虫 諸葛孔明 第伍部』(文藝春秋社)読了

 昨晩は、台風18号の影響でかなりの強風で窓の振動と風切音が明け方まで続いて睡眠が十分では無かったし、フェーン現象などでかなり暑い日となった。

ということとは関係なく昨日、酒見賢一『泣き虫弱虫 諸葛孔明 第伍部』(文藝春秋社)読了。シリーズもこれを持ってフィナーレ。

前回までに劉備・関羽・趙雲、曹操もこの世を去って、魏・呉・蜀もそれぞれの皇帝がたち『天下三分の計』が形に。
孔明は、最終目標に向かって南蛮征伐を実施、さらに魏を倒すために北伐へ。

そしてそして、「死せる孔明生ける仲達を走らす」という運命の五丈原をむかえるのであった。
孔明の死後も三国志はもう少し続くのであるが、この物語はここまで。
初巻からノリもよくテンポよく展開する酒見節は、あたかも格闘技中継を見るような読んで楽しいエンタテインメント。

第四部までは、文庫版も既刊。

ジョン・ハート「終わりなき道」(ハヤカワポケミス)と大下宇陀児「烙印」(探偵クラブ 国書刊行会)

 う〜、午後から左首のハリと偏頭痛でどんより。ちょっと落ち着いてきたかな。
 少し時間が経ったけど、ここ半月で読んだ2冊。

 ジョン・ハート「終わりなき道」(ハヤカワポケミス)と大下宇陀児「烙印」(探偵クラブ 国書刊行会)。
 「終わりなき道」は、刑事エリザベスがかかわった少女監禁事件と彼女の上司がやったとされる過去の殺人事件、その彼を敵として撃とうとした少年…そして刑務所の刑務所長ともう一杯いろんな事が絡んでややこしい展開に。
 このややこしさをどうまとめるのかとついついページをめくってしまう。
 そういう意味で読み応えはあるし、面白くないわけでもないが、やっぱり詰め込みすぎなのと無理くりな感じはしないでもない。

「烙印」は、それに比べると力を抜いて読める。この人はトリックとか、推理というよりも人物の心理を描写することに力を入れている。
作品ごとのバリエーションもあり、飽きずに愉しめた。
この2冊のあとここのところは、読書は一休み期に入っている。

ローラン・ビネ『HHhH』(東京創元社)読了

 発売は2013年で昨年入手済みも取り掛かることができ無いままになっていたローラン・ビネ『HHhH』(東京創元社)、久しぶりのノンフィクション。

タイトルのHHhHとは、Himmlers Hirn heiβt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)の頭文字。
ナチス時代に唯一暗殺されたナチス高官ラインハルト・ハイドリヒとその暗殺を実行した2人のチェコスロバキアの若者の物語。
ハイドリヒはユダヤ人虐殺の中心人物で「金髪の野獣」と恐れられていた。

事実関係を順を追って行くだけでなく、かなり作家の考えや思いが織り込まれてかかれているので、随所で気持ちを入れ直しながら読んでいく形になった。

映画「暁の七人」を観たくなった(なんか随分前に観たような気がしないでもないが…)。